マン島TTレースの歴史

マン島TTレースの歴史

マン島TTレースとは

マン島TTレースとは、毎年5月末から6月初めにかけてマン島で開催されるバイクレースのことです。
マン島はグレートブリテン島とアイルランド島の間にある小さな島で、豊かな自然とTTレースに関連した観光産業が経済の主体となっています。
TTは「Tourist Trophy」の頭文字から取られたものです。

マン島TTレースが始まったのは1907年で、当時は1周25kmのコースを自動車と単気筒・二気筒エンジンのバイクが走り抜けるというものでした。
現在ではコースが大きく延伸してほぼ島全体に及んでおり、1周あたり60.7kmとなっています。
公道を利用したこのコースは、高低差がおよそ400mもあります。
このきわめてアップダウンの強いコースを、時速300kmオーバーのバイクが颯爽と駆け抜けていくのです。

もちろん、コースは直線ばかりではありません。
大小合わせて200を超えるカーブがコース内にあるため、少しコントロールを失うだけで容易にコースアウトもしくはクラッシュしてしまうのです。
ですから、スピードだけでなくコーナリングの高いテクニックも求められる非常に難易度の高いコースとして知られています。

マン島TTレースの大きな転換点となったのは、1976年です。
度重なるアクシデントによりGPシリーズから除外されてしまった時、参戦可能なバイクの資格が見直され、市販車ベースのモデルでもレースへの参加が認められるようになりました。
この改定されたルールは現在まで続いています。

マン島TTレースは「スーパーバイク」や「スーパーストック」など、バイクの排気量および改造の有無に応じて複数のカテゴリに分けられています。
2009年からは、CO2を排出しないバイクを対象とした「Zeroクラス」が導入されており、日本からは高品質なカスタムパーツの製作で知られる「無限」チームが参戦して好成績を収めています。

マン島TTレースへ挑んできた日本メーカーの歴史

イギリスやドイツのバイクメーカーが圧倒的な強さを見せるマン島TTレースへ日本のメーカーが最初に挑んだのは、1959年のことです。
先陣を切ったのはホンダで、初年度から125ccクラスで入賞するという快挙を成し遂げました。
とはいえ、世界を驚かせたのはその2年後となる1961年のレースです。
ホンダは出場した125ccおよび250ccの各クラスで1位から5位までをすべて獲得し、圧倒的な強さを見せました。

スズキが参戦したのは1960年のことで、1962年には新設された50ccクラスで初代チャンピオンになり、翌年には125ccクラスで優勝しました。
一方、ヤマハがマン島TTレースに初参戦したのは1961年で、初優勝を飾ったのは1965年でクラスは125ccでした。
翌年には350ccクラスでも勝利を飾り、日本メーカーの強さを見せつける結果となりました。