スズキGT380の特徴は?
50代以上の男性なら、スズキGT380の名前を知らなくてもこの車種を一度はどこかで見たことがあるのではないでしょうか?
というのも、1971年に放映された「仮面ライダー」が乗っていたバイク「サイクロン」は、実はこのスズキGT380をベースにしたものなのです。
そう聞くと「ああ、あのバイクか」と懐かしく感じる方もいらっしゃるでしょうし、このバイクに懐かしさや愛着を感じる方も多いはずです。
実際にこのスズキGT380が発売されたのは1972年、ロードスポーツモデルとしての発売でした。
当時のロードスポーツモデルの排気量は350ccが主流だったのに対し、こちらは380ccを採用、当然強力なパワーを採用備えていました。
総重量は169kgで、デザインともに重量感を感じさせる作りになっているのも特徴です。
この点はいかにもスズキらしい特徴とも言えるでしょう。
エンジンは空冷2ストローク直接3気筒エンジン、トラミスミッションは6速が採用されています。
冷却効果を高めるために、「ラムエアーシステム」という空気導入ケースが導入されているのも話題になりました。
当時のバイク業界ではカワサキのマッハシリーズが人気を誇っており、このライブル車に対抗するためにこうした仕様・特徴を採用したとも言われています。
人気の理由は?
当時の主流よりも排気量が多いためパワフルな印象もありますが、実際には乗りやすい点が人気となっていました。
先程も挙げたライバルのカワサキは、現在でもその特徴が受け継がれていますが、非常に硬派でパワフルな印象を特徴としています。
それに対してこのスズキのGT380は、より乗りやすく、扱いやすい面を持ち合わせていたのです。
例えば加速も滑らかで安定感があり、先述したラムエアーシステムのおかげで白い排気ガスの排出も少ないなど、当時としてはかなりスタイリッシュな印象が伴う車種でした。
見た目はやや重めだけど実際に乗ってみるととても心地よい、そんなギャップも人気の理由だったのでしょう。
もうひとつ、バイク好きの中でもとくにこだわりの強い人達の間で評価されていたのがマフラーが4本設置されていた点です。
このバイクは3気筒エンジンですからマフラーは4本も必要ないはずなのですが、排気を分散させるためのみならず外観も重視したうえで4本を導入したと言われています。
このように、当時としては最先端の技術を導入しつつも乗り心地がよく、しかも見た目にもこだわっている、そんなありそうでなかったバイクがこのスズキGT380なのです。
現在でも人気が高く、路上で運転しているとプロの窃盗団から狙われると言われるほどです。
仮面ライダーのバイクとして採用されたから有名なのではなく、優れたバイクだからこそ仮面ライダーに採用されたとも言えるでしょう。
そしてそうしたイメージとは別にバイク好きの間で現在でも愛され、語り継がれている、そんな時を超えた魅力を持つ車種です。